抄録
最終処分場には有害物質や汚濁物質の漏洩による環境汚染リスクが存在する。また、廃止後の運転・維持管理費用の負担軽減を図るためにも、早期安定化が望まれる。安定化は「塩類洗い出し」、「塩類不溶化」および「有機物分解」のメカニズムによって進行するといわれている。「塩類洗い出し」に関しては過去の研究において、埋立開始からの経過期間と浸出水中のCl-濃度とNa+濃度の関係を調査した。結果としてCl-に比べてNa+の洗い出しが遅れている埋立区画が存在することが判明した。これらのイオン間で大きく異なるのは正負の荷電であることから、Na+の溶出遅延の原因の一つとして、埋立廃棄物が陽イオンを吸着する能力を有し、溶出性に影響していることが推察された。これまでの研究で埋立廃棄物がNa+を吸着し、CEC(陽イオン交換容量)を有することが判明したことから、本稿ではAEC(陰イオン交換容量)の定量結果を報告する。