抄録
近年、石炭灰処理に関するリスクの増大が懸念されており、新たな大量消費先の確保/有効活用策の具体化が急務である。石炭灰を利用するためには環告第46号における規制対象元素の溶出量基準値を満足する必要があるが、原灰の状態で満足する場合はまれであり、使用する際にはこれらの溶出を抑制、もしくはこれらを除去する技術確立が必要である。同時に、規制対象元素が長期的に溶出しないことを担保することも必要であり、そのためにはメカニズム解析を行ない、長期的に安定なのかどうかを判断することも必要である。本研究ではこの、溶出抑制がなされた状態が長期的に安定なのかどうかを判断すること、に資するための解析/解析技術の確立、およびそれらを石炭灰中規制対象元素の溶出/溶出抑制メカニズム解析に活かすことを目的とし、石炭灰に含まれる主構成元素に加えて、特に、規制対象元素の状態を把握し、基礎物性を明らかにすることを試みた。