抄録
処分場は一般的に「迷惑施設」と目されやすく、周辺住民の合意を得ることが難しい施設の一つである。実際に建設までこぎつけた処分場では合意形成のためにどのような取組が行われているか、平成27年度以降に埋立開始もしくは建設中の陸上埋立処分場11か所を調査対象とした調査を行った。その結果、処分場のハード面では、埋立物のリスク管理という本来の目的よりは、周辺住民の安心を得ることを目的としてより堅牢なシステムが選択される傾向にあること、ソフト面では、公募による選定が2ケースで行われており、それ以外のケースでは事業主体が複数候補地を抽出・検討し、かつ最終候補地決定まで選定過程を公開しない方策をとっていた。地元還元策は、事業者選定では道路関係もしくは公民館の整備など基本的な施策を中心に1~3種類であるのに対し、公募選定では、地域の意見を取り入れて多くの施策が実施されていた。