異なる条件(水銀埋設の有無、硫酸還元雰囲気)の実最終処分場および固型化物の単独埋立を模擬したカラム試験の試料を対象とし、水銀メチル化遺伝子hgcABの存在について調査した。hgcAB遺伝子は、処分場において普遍的に存在しないが、一部の試料において、水銀廃棄物の埋設に関わらずその存在が確認された。hgcAB遺伝子濃度と試料の水銀濃度との間に有意な関係性は認められなかった。処分場より分離した硫酸還元菌の25%がhgcAB遺伝子を保有していたことから、硫酸還元菌の生育抑止は、処分場における水銀メチル化のリスク低減において重要であると考えられる。カラム試験試料中からはhgcAB遺伝子は検出されなかったことから、有機物との混合埋立や硫酸還元雰囲気を避けることによって、水銀メチル化が抑制されることが推測された。本解析ツールは、水銀廃棄物の埋立場所の選定や埋立後のモニタリング等への活用が期待される。