流通研究
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サービス・プロセスの各段階と結果の評価が顧客満足に及ぼす影響
―プロスペクト理論をベンチマークとした実証分析―
長島 直樹西尾 チヅル
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2013 年 16 巻 1 号 p. 35-59

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抄録

 本研究は利用者によるサービス評価が、非対称性や非線形性を伴うことを検証し、マーケティングへのインプリケーションを探ったものである。プロスペクト理論が提唱するような非対称性や非線形性がサービス評価においてどのように表れるか、物販サービスに関して検証を行った。その結果、随所に非対称などの特徴が現れた。例えば、サービスのプロセスと結果が総合評価を説明するモデルでは、結果評価が低いことによる総合評価への悪影響は、結果評価が高いことによる好影響を上回ることが判明した。また、プロセスの序盤、中盤、終盤の各段階の評価がプロセス評価を説明するモデルでは、スピードが主に評価される序盤はプロスペクト理論の関数形が適合する。つまり、スピードに関する評価が低いとプロセス評価が著しく悪化する一方、同評価が高くてもプロセス評価はあまり向上しない。これに対して、共感要素が主として評価される終盤は異なる特徴が示された。

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© 2013 日本商業学会
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