流通研究
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空間的数量競争と上限価格規制
成生 達彦
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2003 年 6 巻 1 号 p. 1-11

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抄録
本稿では、Anderson and Neven (1991) やPal (1998) によって展開された空間的数量競争のフレームワークの中で、テリトリー制および上限価格規制の機能について検討する。複数の販売業者が市場の各地点に店舗を持ち、そこで数量競争を行う場合、ある地点では複数の販売業者が財を販売することになる。各販売業者の仕入れ本部から店舗までの輸送費用が距離の増加関数とすれば、相対的に遠い仕入れ本部からの輸送はチャネルにとって費用の無駄となる。Matsumura (2001) が示したように、この種の非効率性はテリトリー制の導入によって回避することができる。しかしながら、テリトリー制の運営には多くの費用がかかるかも知れない。この場合の代替的な方策として、上限価格規制がある。生産者が出荷価格のみならず標準小売価格によって小売価格の上限を設定する場合、販売業者は輸送費用が小売マージンを上回る地点での販売を行わなくなる。その結果、チャネルの利潤のみならず、消費者余剰もまた増加する。
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