近年,台風の勢力が強大化し,人間社会に対する脅威となりつつある.そのため,台風の予測精度の向上手法や,制御手法が注目されている.台風強度の予測精度の向上のため,本研究グループでは水槽実験により,海表面における運動量・熱フラックスモデルの実験式を提案してきた.本研究では,このフラックスモデルをマルチスケール大気モデルに実装し,台風強度の予測精度を従来のフラックスモデルを用いた場合と比較した.さらに,海表面の一部の領域に介入し,介入の効果がどの程度表れるのかについて検証を行った.その結果,フラックスモデルの実験式を用いた場合には従来のフラックスモデルの場合よりも精度良く,強度を予測できることが明らかになった.また,介入により台風の強度が変化することが確認され,台風を制御できる可能性が示唆された.