抄録
アカイエカの越冬生態に関しては、1970年代に真喜屋らが防空壕内での越冬蚊の発生動態を詳細に検討している。しかし、一部、高層住宅の地下等で越冬蚊を少数目撃したとの情報があるものの、都市部の住宅地周辺での越冬生態は全く調査されていない。そこで、2005年2月上旬に埼玉県K市の用水路で越冬蚊の調査を行った。この用水路は20年前までは蓋がなく、雨水、生活雑排水などが流れていた。 約10年前から上下水道が完備され、一部の用水路にコンクリート板で蓋がされ歩道となっている。東西に走る2ヶ所の用水路に潜り調査をしたところ、入り口から10mほどからアカイエカが壁面、天井に静止しているのが観察された。また、入り口から10-20mの範囲に越冬蚊が集中して観察され、それ以上奥へ進むとほとんど観察されなくなった。用水路Aでは163匹、Bでは51匹のアカイエカが採集され、分子分類から全てアカイエカと同定された。