抄録
〈雨水ますの構造〉雨水ますには、宅地の排水を下水管へ取り入れるますと、道路上に設けて路面に降った雨水を取り込むますとがあります。雨水ますには土砂の流入状況により15cmの泥だめを設けるようになっています。〈雨水ますの改造〉「蚊が発生して困る」という陳情を受け、現場に行ってみると、家庭で使った網戸の網をますのふたにかぶせて、蚊がますから出てくるのを防止していました。そこで、ますの底に植木鉢のような穴を開け、試験的に泥だめに雨水がたまらないようにしました。蚊が発生するには、1週間くらいかかるであろうということから、穴の大きさは、1週間くらいのうちに雨水が浸透して泥だめが干上がる程度にしました。〈泥だめ不要論〉ただし、地下水位が高い場合には、地下水がますの中に入り、下水管へ逆流してしまう欠陥がありますので、地域条件や土質などをよく検討する必要があります。 そこで、簡単に言えば、地下水位の高いところでは、その泥だめ部分を埋めてしまえばよいわけです。そもそも、泥だめが必要な理由は、道路に舗装がされていなかった当時、少しの雨でも、長靴がないと歩けませんでした。すなわち、水たまりだらけで泥んこになってしまいました。そのような時代には、雨水と一緒に下水管の中に泥が流れ込んでしまいました。そのため雨水ますには泥だめが必要だったのではないでしょうか。〈本質を見極めよう〉ともあれ、もともとの機能や本質などを忘れて、現在も生き続けているものがたくさんあります。もし、不都合が生じたら、本来の目的を確認し、本質的な対応をすべきだと思う、そのことを伝えたいのです。