日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第63回日本衛生動物学会大会
セッションID: A23
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第63回日本衛生動物学会大会
本州北部におけるCulicoides属ヌカカの分布調査
*梁瀬 徹早山 陽子筒井 俊之加藤 友子白藤 浩明山川 睦寺田 裕
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抄録

アカバネ病はアカバネウイルスの感染により牛、緬羊、山羊などに異常産(流早死産,先天異常)を引き起こす疾病で、Culicoides属ヌカカによって媒介される。九州・沖縄および中国地方ではアカバネ病の発生がしばしば報告されており、主要な媒介種はウシヌカカCulicoides oxystomaと考えられている。アカバネ病の流行は関東以北においても希に認められることがあるが、その地域におけるウシヌカカをはじめとしたCulicoides属ヌカカの分布状況については不明な点が多い。そこで、2009年と2010年に東北6県および新潟、栃木、茨城県内、計34ヶ所の牛飼育農場において、ブラックライトトラップを設置して、Culicoides属ヌカカの捕集を行った。その結果、19種のCulicoides属ヌカカが捕集され、そのうち14種において吸血個体を認めた。2010年8月から、東北地方でアカバネウイルスに対する抗体価の上昇が広範な地域で認められ、アカバネ病の発生も報告されていることから、調査地域においても本ウイルスが浸潤していたものと考えられる。しかし、今回の調査ではいずれの農場においてもウシヌカカは採集されなかった。これらの結果から、ウシヌカカがアカバネウイルスの伝播に関わった可能性は低いものと考えられ、本州北部では媒介種としてウシヌカカ以外のCulicoides属ヌカカの存在が示唆された。今後、当該地域に分布するCulicoides属ヌカカのアカバネウイルス媒介能について検討を行い、同地域におけるアカバネ病の流行のリスクを把握することが重要であると考えられる。

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