抄録
食品や飲料等へ昆虫類が異物混入として発見された時、その昆虫異物が加熱行程を経ているか否かの判断材料として、カタラーゼによる発泡の有無による結果を利用することが多い。また、その発泡量は時間経過、食品や飲料類の種類によって大きく異なることも知られている。
一方、β-ナフチルアセテートは、有機リン抵抗性有無の判断基準として使用されている。
今回、このβ-ナフチルアセテートを利用し、昆虫類の食品への異物混入時の加熱の有無および時間の推測を試みた結果について報告する。
試験に使用したイエバエでは、死亡直後、翌日、3日後、1週間後、1ヶ月後および3ヶ月後について、チャバネゴキブリでは死亡直後、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後および6ヶ月後について発色の状況を確認したところ、時間経過とともに発色が薄くなる傾向が見られた。また、加熱行程を経るとそれらは発色しないことが明らかとなった。