日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P2070 重症心身障害児(者)の慢性便秘症に対する水溶性食物繊維飲料の使用経験(ポリデキストロースと難消化性デキストリンの比較)
中井 雄子松井 欣也興津 めぐみ山端 智恵美松浦 規恵玉村 宣尚大内 孝雄
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2010 年 35 巻 2 号 p. 311

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抄録
目的 重症心身障害児(以下、重症児)には、慢性便秘症が多い。当院では便秘対策の一つとして、水溶性食物繊維のポリデキストロース含有飲料(以下、ファイブミニ®)を摂取している。今回は、同じ水溶性食物繊維の難消化性デキストリン含有飲料(以下、FO)を使用し排便改善を試みた。 対象と方法 対象者は当院で以前からファイブミニ®を摂取している4名とした。男性4名、年齢は39〜48歳、大島分類の「2」が2名、「5」が2名、BMIは13.5〜23.1、エネルギー量は1,192〜1,836kcal/日、症例1には難消化性デキストリンを10g、症例2〜4には20gで実施。ファイブミニ® からFOに変更し、10週間の自然排便の回数、緩下剤や浣腸の使用回数を比較。今回の目的や方法については、対象者の家族に書面、口頭にて説明し、同意を得た。 結果 自然排便、浣腸や緩下剤の回数をそれぞれ1人、1週間当たりの平均値で評価。自然排便の回数は症例1ではファイブミニ®の時1.6回がFOでは0.6回に減少。症例2は4.6回が1.6回、症例3は4回が0.5回、症例4は4.8回が1回にそれぞれ減少。浣腸の回数は症例1ではファイブミニ®の時には0.4回がFOでは1.7回に増加。症例2では0回が0.8回、症例3は0回が1.8回、症例4は0回が2回にそれぞれ増加。緩下剤の回数は症例1はファイブミニ®の時2.4回がFOで2.7回に増加。症例2は0.8回が3.4回、症例3は0.5回が1.6回とそれぞれ増加し、症例4では変化が無かった。 考察 全症例で自然排便や浣腸の回数は、FOよりファイブミニ®のほうが有効であった。症例1はファイブミニ®が1本で効果があったが、症例2〜4はファイブミニ®が2本必要であった。ファイブミニ®は容器がガラス瓶なので、保管や空瓶の取り扱いに注意が必要。FOは紙パックで、ファイブミニ®に比べて安価であるが、開封後は冷蔵保存が必要。 結論 ポリデキストロースは難消化性デキストリンに比べて、自然排便の促進、浣腸や緩下剤の使用回数の減少が期待できる。
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© 2010 日本重症心身障害学会
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