抄録
はじめに
長時間、車椅子を使用すると坐骨や仙骨など骨の突出部に痛みや褥瘡を伴うことがある。車椅子の種類や座る人など条件の違いにより座圧がどう変化するかを検討したので報告する。
対象
一般成人(女性4名、20〜50代)利用者(男性2名、10〜30代・女性3名、30〜60代)GMFCSレベルⅢ、2名、レベルⅣ、1名、レベルⅤ、2名。
方法
リクライニング式車椅子の90°、75°、60°、45°の角度にて左右坐骨、仙骨に加わる圧を携帯型接触圧力測定器(以下測定器とする)にて測定した。角度は角度計にて測定し基本軸は座面シートに合わせ、移動軸はバックレストに合わせた。測定器のパットは左右坐骨と仙骨など骨の突出部に当てた。測定時における基本姿勢は、頭部をバックレストに接して深く座り、足底は床面から浮かないようにした。各部位3回測定し平均をとった。利用者が現在使用している車椅子でも同様に測定した。
倫理的配慮
研究内容、目的、得られたデータを研究以外には使用しないこと、個人の特性が明らかになるようなデータの扱いはしないように配慮し、当センターの倫理委員会の承認を得て実施した。
結果・考察
一般成人と利用者の座圧の値を比較すると、利用者の値が高い傾向にあった。また、身体特徴が違うために個人差が大きかった。次に、リクライニング式車椅子と利用者が現在使用している車椅子を比較した結果、現在使用している車椅子の方が左右坐骨と仙骨ともに値は低くかった。これは利用者の身体特徴に合わせたテーブルや座面シートなどの工夫により、除圧や分圧がされているためと考えられる。
結論
今回、使用した測定器では簡易に数値化でき、また短時間で測定可能であった。数値化したことにより、利用者の身体特徴に合わせた車椅子を作製することの重要さを再確認できた。今後も、利用者の方々が車椅子でより快適に過ごせる様に努めていきたい。