日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-1-A-14 Lesch-Nyhan症候群における新規キサンチンオキシダーゼ阻害剤フェブキソスタットの使用経験
徳光 亜矢鈴木 啓子斉藤 剛岩佐 諭美鳥井 希恵子楠 祐一平元 東
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2012 年 37 巻 2 号 p. 261

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抄録
はじめに Lesch-Nyhan症候群(以下、LNS)は高尿酸血症、高尿酸尿症による尿路結石、腎障害を来し、尿酸生成抑制剤が必要不可欠である。しかし多用されているアロプリノールは、腎機能に応じて容量調節しなければならず、腎障害があるLSNにおいてはその投与量に苦慮していた。昨年、中等度までの腎障害であれば投与量の調節が不要な尿酸生成抑制剤フェブキソスタットが販売開始となったので使用経過を報告する。 対象 LNSの2名(39歳、45歳)と、腎障害と高尿酸血症を呈する脳性麻痺の1名(44歳)。 方法 LNSの2名は、内服していたアロプリノール(200mg/日)を中止し、同時にフェブキソスタットを10mg/日で開始、漸増していった。尿酸値は8mg/dl未満を目標とし、2〜4週ごとに尿素窒素、血清クレアチニン、尿酸値の推移をみてフェブキソスタットの投与量を調節した。LNSでない1名は10mg/日で内服開始し、尿酸値が8mg/dl未満を目標とした。 結果 LNSの2名はフェブキソスタット投与量が30mg/日では尿酸値が9mg/dl前後であったが40mg/日にしたところで7mg/dl台となった。もう1名は10mg/日で尿酸値が8mg/dl台から6mg/dl台となった。 考察 LNSは腎結石や繰り返す尿路感染症、高尿酸尿症などに起因する腎障害が生命予後を決定する要因のひとつとなる。アロプリノールは腎排泄であるため、腎障害があれば減量せざるを得ない。しかしわれわれの症例は、少ない投与量ではLNSの高尿酸血症のコントロールができず、通常量での投与を余儀なくされていた。フェブキソスタットは腎障害があっても容量調節が不要で、今回の経験例では通常量で尿酸値を8mg/dl未満に維持できた。LNSの高尿酸血症、高尿酸尿症の治療には大変有効と考えられた。
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© 2012 日本重症心身障害学会
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