抄録
はじめに
重症心身障害児(者)の骨組織は脆弱であり、小さな外力で骨折が起こりやすい。発表者担当病棟においても、最近下肢骨折が連続して発生したが、重症児(者)ならではの制約から、骨折治療方針は、手術や装具療法ではなく、シーネ固定となった。シーネは軽量・簡便であるが、シーネと弾性包帯のみでの患肢固定は安定性が不十分なため、以下の問題点が明らかとなった。1.痛みが誘発されやすい。2.患肢安定化のため保護が必要だが、複数のビーズクッションなどを用いて行うポジショニングでは一定の姿勢になりにくい。3.おむつ交換・整容・体位交換時に多くの人手を要する。特に筋緊張が低く下肢長が長い場合、看護作業の負担は大きい。今回、2症例の下肢骨折について、シーネ固定を安定させて疼痛・再骨折を防ぎ体位交換を安全にシンプルに行い、患者・看護職双方の負担を軽減するための工夫を行ったので報告する。
対象
大島分類1の2名。症例1:低酸素性脳症後遺症、16歳男性、両側大腿骨骨幹部骨折 症例2:周産期障害後遺症、34歳女性、右大腿骨骨幹部および遠位端骨折
方法
シーネ下面・下肢の両側面を支持できるようにカットした箱状のウレタン装具で一側下肢全体を包み込み、ベルトで固定する。骨折のない反対側下肢についても新たな骨折予防のため、同様なウレタン装具で保護した。体位交換時は、体幹と両下肢が捩れなく一体となるよう、左右のウレタン装具をベルトで固定した。
結果および今後の課題
ウレタン装具導入以前と比べて、導入後は、1.体交時、患者の表情の険しさがなくなった。2.体位交換がやりやすくなったため、看護作業時の不安感が少なくなり、体位排痰も頻回に可能となった。3.ポジショニング方法が簡素化したので病棟全体において統一が図れた。課題として、シーネ巻き直し時、ウレタン装具脱着が容易になる工夫が必要と考える。