抄録
はじめに
重症心身障害児(者)(以下、重症者)の生命予後に直結する下気道感染・慢性呼吸不全は、できるかぎり非侵襲的に予防することが重要である。近年、神経筋疾患患者や重症者に対してカフアシスト®を用いた呼吸理学療法が普及しつつある。
今回、外来での重症者へのカフアシスト®継続使用により、呼吸状態改善を認めたので報告する。
対象
2011年4月から1年間、当センターにて継続してカフアシスト®を実施した呼吸器未使用の重症者7名(男性6名、女性1名、平均年齢18.2歳、診断名は脳性まひ4名、染色体異常3名)を対象とした。
方法
実施前後の評価はSpO2、胸郭拡張差、呼吸数を測定し、定期的に1回換気量、肺レントゲン画像、血液検査(KL-6)を実施した。カフアシスト®の設定は各症例の受容範囲で定め、実施姿勢は呼吸状態を評価した上で決定した。また、実施1年後に日常生活での変化についてのアンケートを保護者に実施した。
結果
評価項目において著明な変化はみられなかった。しかし、保護者のアンケート結果から入院回数減少、医療的ケアの負担軽減など呼吸状態の改善点が挙げられた。また、保護者全員から呼吸に対する意識が高まったと回答が得られ、今後も継続を希望されている。
考察
カフアシスト®を継続使用した結果、呼吸機能検査等では著明な変化はみられなかったが、日常生活における呼吸状態の改善が認められた。これは各症例の適切な姿勢で使用した結果、気道クリアランスが保たれやすく、分泌物貯留や無気肺予防に有効であったと考える。また、保護者の呼吸に対する意識変化がみられ、呼吸状態の変化に関心が高まったことも呼吸状態の改善の一因と考える。
まとめ
重症者へのカフアシスト®使用では明確な方法が示されていない。しかし、今回、継続使用により呼吸状態において大きな変化が認められた。在宅重症者のQOL改善、医療費削減等につながると考え、今後もカフアシスト®を使用した呼吸ケアを広めていきたい。