抄録
肺内パーカッションベンチレーター(IPV)の適正使用を目的に全国的に重症心身障害児(者)におけるIPV使用の実態を調査した。IPVの利用者総数は304名であり、239名(79%)は入院・入所、65名(21%)が在宅であった。病態の改善において、無気肺や排痰困難など、297件に治療の効果があった。IPV療法時のアセスメント項目は、SpO2、心拍数、本人の反応、胸郭の動きなどであり、一定ではなかった。IPV療法中のトラブル経験では、「トラブルあり」56%、「トラブルなし」44%、トラブルの内容は、呼吸抑制などで、大きな事故につながるトラブルを認めなかった。呼吸抑制とIPVの設定条件(作動圧、頻度、設定時間)に相関はなかった。IPVが高度医療機器として薬事法により承認されている機器であり、その理解が十分でない実態もうかがわれたが、一定の治療効果を大きなトラブルなく認めていた。今後、IPV療法中の定期的なアセスメントとリスク管理さらに治療プロトコールの作成が多施設間で協働的に構築することが求められる。