日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-2-C-02 医療ニーズの高い重症心身障害児(者)病棟における連携を進めるための課題と取り組み
石野 博子石山 正紀川口 美紀澁谷 徳子今西 典子
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2013 年 38 巻 2 号 p. 298

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抄録
はじめに 当病棟では前回の研究において、医療ニーズの高い重症心身障害児(者)に、質の高い個別性のある療育を提供するためには、他職種との連携が必要であるという結果を得た。しかし看護職としては、医療ケアに追われ他職種との連携にあたっては、困難な現状を感じている。そこで今回、どのような意識と行動が、他職種との連携を円滑にするのかを明らかにするためのアンケート調査を行った。その結果、連携における課題解決のために取り組んだ経過を報告する。 方法 アンケート調査を行って、その結果、抽出された課題を解決するための取り組みを、計画・実行した。 結果と経過 医療ニーズの高い当病棟で、利用者のQOLの向上のために必要な連携とは、医療的な情報の共有、安全・安楽を優先とした利用者の生命保護・病状の変化の早期発見、それぞれの専門性を活かし細かく連絡を取り合い協力するという意見であった。課題として、コミュニケーション不足、価値観の違い、互いの業務への理解不足、経験・知識不足の4カテゴリーが抽出された。連携を取るための具体策として、上がった意見を元に、ユニットケア方式の導入、情報共有システムの作成、1日の活動内容と当日スタッフの明確化、担当者の明確化を行った。 考察 重症心身障害児(者)病棟において、看護職は医療ニーズ中心の業務に偏る傾向があると考える。しかし利用者のQOLの向上のためには、他職種との連携が必要である。円滑な連携には、積極的なコミュニケーションを取ることが大切であり、情報を共有するための伝達方法の確立の必要性が示唆された。そして、互いに専門性を主張するだけでなく、互いの役割を適切に理解することが大切であると考える。相手から学ぶ姿勢を持ち、相互の理解を促すことが、連携を円滑にすると考える。
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© 2013 日本重症心身障害学会
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