日本重症心身障害学会誌
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O-1-G20 当センター入所重症心身障害児(者)のヘリコバクター・ピロリ感染症の現状と対策
市山 高志杉尾 嘉嗣
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2015 年 40 巻 2 号 p. 223

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抄録

はじめに ヘリコバクター・ピロリ感染症は慢性胃炎、胃潰瘍、胃癌などの胃疾患をはじめとする様々な全身性疾患の原因となる。 目的 鼓ヶ浦こども医療福祉センター入所中の重症心身障害児(者)のヘリコバクター・ピロリ感染状況を調査し、感染者に対する治療効果を検討する。 方法 対象は当センター入所中の重症心身障害児(者)79人(3歳〜54歳、中央値29.0歳)。方法は血清抗ヘリコバクター・ピロリIgG抗体および便中ヘリコバクター・ピロリ抗原を検査した。検査項目いずれかの陽性者を感染者とした。 結果 血清IgG抗体では79人中34人(43.0%)が陽性だった。便中抗原では79人中20人(25.3%)が陽性だった。対象者79人中37人(46.8%)が感染者だった。また経管栄養の31人中19人(61.3%)が、非経管栄養の48人中18人(37.5%)が感染者だった。感染者に対してクラリスロマイシンを含む標準治療を行い、37人中25人(67.6%)で除菌できた。 考察 当センター入所中の重症心身障害児(者)、特に経管栄養中の患者では、高率にヘリコバクター・ピロリ感染を認めた。またクラリスロマイシン耐性菌が少なくないことが示唆された。

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