抄録
道では、現在、障がい児に対し、乳幼児期から成人期まで一貫した支援体制の整備を図ることで、障がい児(者)の福祉の向上を図るとともに、発達の遅れや障がいのある児童とその家族が、身近な地域において、適切な相談支援および療育を受けることができるよう、市町村等において、必要な支援を確保し、発達支援体制の充実・強化を図る「障がい児支援体制整備事業」を進めているが、その前身は、平成元年から実施している「障害児早期療育システム推進事業」にさかのぼることができる。その変遷と私見であるが、今後に向けた私の思いについて述べる。
1.障害児早期療育システム(1989(平成元)~2004(平成16)年度)
障がい児に対する早期療育の果たす役割については、早くからその重要性が認識されており、ある程度の充実が図られてきたが、本道の広域性や療育資源の偏在という問題があり、道内どこに住んでいても障がい児の発育過程において必要とされる保健、医療、福祉、教育などの療育サービスが総合的に提供される「システム」の構築が強く求められていた。
このため、67の第1次療育圏で母子通園センターを設置し、日常基本動作指導や保護者の療育相談を行うとともに、8の第2次療育圏で巡回療育相談などにより第1次療育圏を支援する機能を、全道域である第3次療育圏で高度な中核的機能を道立施設群が担う体制を整えた。
2.子ども発達支援事業(2005(平成17)~2012(平成24)年度)
平成元年度から行ってきたシステムの成果を検証したところ、障がいや発達に遅れのある子どもは増えており、孤立化する親の不安が増大していること、障がいが確定されない子ども、早期に発見されない自閉症などの発達障がいの子ども、環境や家族の関わり方などさまざまな原因により発達に遅れが生じている子どもなど、特別な支援を必要とする子どもと親への適切な対応が重要となっていること、などの課題が明らかになった。
このため、全道一律の支援体制から、地域の実態に応じた支援に転換し、本人や家族などへの支援実施の主体を市町村が担い、道はこれらの広域調整や職員研修などを行う体制へと再編成した。
3.障がい児等支援体制整備事業(2013(平成25)年度~)
乳幼児から成人期までの一貫した支援体制の整備を図るため、現在の体制となった。具体的には、道が運営する3カ所の発達障害者支援センターにより市町村や関係機関の体制整備を支援する発達障害者支援体制整備事業、市町村が医療機関に専門支援を依頼した際の助成や、道が高度・専門的支援実施者を派遣する専門支援事業、市町村職員、保健師等を対象とした研修事業、聴覚障がい児を支援する道立聾学校専門支援事業の4事業を実施している。
平成27年度の専門機能確保支援事業の支援実績であるが、医療機関に医師や作業療法士、理学療法士、言語聴覚士等の専門的支援を依頼した市町村が63市町村、道立施設であるコドモックルおよび旭川療育センター職員が市町村等への療育の手法等の助言・指導を67市町村に実施した。
4.今後に向けて
国においては、児童福祉法の改正により、平成30年4月から障がい児の福祉計画を策定することとされている。この計画において、障害児通所支援や入所施設の指定について、都道府県の定める区域における支援の量を定めることとされるので、今後も国の動向を見きわめる必要があるが、これに前後して平成29年までの第4期障がい福祉計画も改訂に向けて動き出すことになる。より良い支援体制の構築を図っていくために、これらの動きに呼応した検討が必要になる。
略歴
1984年北海道網走支庁社会福祉課採用、2014~2015年宗谷総合振興局地域政策部長、2016年4月~現職。