抄録
はじめに 重症心身障害児(者)は、言語的コミュニケーションが困難であることが多い。A氏も同様であり、筋緊張亢進などで訴えをみせるが、その理由を言葉で訴えることが困難だった。私は、どうしたら筋緊張亢進が緩和されるか悩むことが多く、患者の気持ちや訴えを受け止められていないのではないかと感じていた。今回、A氏への看護の検討を行い、症状の裏側にある要因につながる重症心身障害者の訴えに寄り添いながら看護をする重要性を再認識することが出来たため、報告する。 対象 A氏 10代 女性 大島分類1 主診断名:交通外傷後遺症、水頭症 筋緊張亢進時の主な症状:心拍数の上昇を伴う苦痛様表情・喘鳴・上肢硬直、頸部反り返り 事例 A氏は夜間に筋緊張亢進の持続があり、屯用薬を使用することがあった。このことをA氏の母の面会時に伝えると、「緊張しているときはお腹が張っていて苦しいんだと思います。夜中にしっかりお腹を押して尿を出し切った後におむつ交換すると、自宅ではよく眠れています。」との発言が聞かれた。この発言をもとに、A氏の筋緊張亢進は苦痛を示すサインなのではないかと考え、苦痛を取り除くようなケアを実施した。1 排泄介助 2 排痰介助 3 体位調整 4 体幹を揺らす 結果・考察 1〜4のケアを行うことで、心拍数は下降し、表情も和らいだ。このことから、ケアが筋緊張緩和に有効だったと考えられる。ケアのみで筋緊張亢進が軽減するとはかぎらず、屯用薬の併用も必要と考える。しかし、筋緊張亢進の要因を考え、把握することは、根拠のある看護援助の実施にもつながり、対象者に寄り添うことにつながる。言語的コミュニケーションが困難な患者と関わるにあたっては、看護師の細やかな観察が必要であるとともに、家族とのコミュニケーションが重要であると言える。今後も非言語的な訴えに目を向け、少しでも多くの対象者の理解をしていき、寄り添う看護について追及していきたい。