日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-2-F15 重症心身障害者福祉施設における利用者の呼び方の実態と看護師のそれに対する意識について
市川 知里須田 由紀
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 42 巻 2 号 p. 289

詳細
抄録
はじめに 障害児(者)福祉施設利用者の呼び方は、古くから議論されているが、当センターにおいても、利用者が慣れ親しんだ呼び方のまま呼ばれ続けている。そこで本研究では、重症心身障害者福祉施設における利用者の呼び方の実態と、呼び方に対する看護師の意識を明らかにすることを目的とした。 研究方法 医療型障害児入所施設-療養型病棟に勤務する看護師38名に対し、呼称の使用にあたっての理由や実践している事等の内容を盛り込んだ無記名自記式質問紙調査を実施し、記述統計および内容分析を行った。研究対象者には、研究の趣旨や匿名性の保持等を文書にて説明し同意を得た。 結果 対象者の平均年齢は39歳であり、看護師としての平均経験年数は19.9年であった。呼び方の実態として、看護師は【年齢を意識する】【倫理観】【関係性】等の根拠を持ち「〜さん」や「〜ちゃん」「〜君」(以下、幼児呼称)等を意識的に使い分けていた。看護師が利用者の呼び方について感じていることとして、【幼児呼称を大切に思う】と同時に【基本的人権や倫理】【呼び方の現状への葛藤】等を感じていた。また、「〜さん」の呼び方を通し【基本的人権を意識すること】で、看護者は倫理綱領やセンター基本理念等を体現しようとしていた。さらに看護師は、呼び方を通し【安心を与える看護】【信頼関係を大切にした看護】等を目指し、【「〜さん」を意識する】【対象の主体性を意識する】等、利用者の倫理性に配慮していた。 考察 利用者の呼び方の実態から看護師は、利用者の特性を考慮し幼児呼称を大切にする一方で、倫理性に配慮しながら、巧みに呼び方を変えていたが、幼児呼称に潜在する支援者側の無意識化の操作性について、意識していく必要性が示唆された。今後は看護師として、日々の療育・看護の観点から、専門職としての倫理観を高め、利用者との相互成長を目指していくことが求められる。
著者関連情報
© 2017 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top