日本重症心身障害学会誌
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O-1-S14 当センター親子入所患者の多様性について
笛木 昇小林 桂子村田 マサ子金子 和可子八木 芳雄
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2018 年 43 巻 2 号 p. 253

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抄録
はじめに 当センターは、児の機能訓練と家庭でのリハビリテーションの継続を目的に、親子での有期有目的入所を行っている。期間は5週間で、併設の肢体不自由児特別支援学校の教育(未就学児は保育活動)を受けながら、集中リハビリを行う。入所家族の満足度は高く、複数回利用も多く、予約は一年先まで埋まる状況である。今後の親子入所の運用を考えるため、最近3年間の親子入所患者について、カルテを見直し、診断名、病状、転帰についてまとめた。 結果 患者総数は、平成27年1月から平成30年5月までで149名。年齢は2−14歳で、4−5歳での利用が多かった。利用回数は、1回48、2−4回75、5−9回19、10回以上7であった。患者居住地は、神奈川11、群馬2、埼玉21、千葉3、東京50、静岡12、新潟2、山梨11、長野32、その他5であった。原因疾患は、早産児28、新生児期低酸素性脳症27、脳形成異常10、頭蓋内出血6、頭部外傷2、水頭症3、染色体異常20、先天異常症候群8、てんかん性脳症13、脳炎脳症後遺症16、その他16であり、肢体不自由児は41名(28%)、残りの108名は精神運動発達の遅れを合併しており、大島の分類1−4の重症心身障害児は72名(48%)であった。平成30年5月の段階で、親子入所継続希望は64、長期入所へ移行6、有期有目的単独入所18、死亡例2、当センター外来リハビリを継続24、地元の外来リハビリ継続35であった。 考察 当センターは、もともと肢体不自由児施設であるが、親子入所の利用者は、重症心身障害児の比率が高かった。患者居住地でのリハビリ以外に、親子入所時に集中リハビリすることは、児の発達促進以外に、同じ症状の子を持つ親の仲間作りができる側面がある。利用者は、関東甲信越から集まっていた。地元のリハビリスタッフとの連携以外に、今後地域の相談支援専門員や児に関わるスタッフとの情報交換を密にしなければいけないと思われる。
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© 2018 日本重症心身障害学会
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