2018 年 43 巻 3 号 p. 471-475
重症心身障害児(者)入所施設である当センターの入所者におけるHelicobacter pylori(以下、H.pylori)感染状況を検討した。対象は、2013年9月から2014年3月の間の当センター長期入所重症心身障害児(者)77例(男性:女性=52例:25例、年齢2~53歳、中央値27歳)。方法は、対象者に対し便中H.pylori抗原と血中抗H.pylori IgG抗体検査を行った。いずれかが陽性であれば感染者とした。感染者には、ランソプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシンによる一次除菌療法を行った。77例中18例(23.4%)が抗原陽性、33例(42.9%)が抗体陽性で、35例(45.5%)が感染者だった。また経管栄養者の感染率(28例中17例、60.7%)は、経口摂取者の感染率(49例中18例、36.7%)に比し、有意に高かった(p<0.05)。さらに19歳以下では、経管栄養者の感染率(60.0%)が経口摂取者(8.3%)に比し有意に高かった(p<0.01)。除菌療法の成功率は60.0%だった。当センター入所者ではH.pylori感染者が多く、特に経管栄養者では高率だった。また一次除菌療法の成功率は、60%にとどまった。