日本重症心身障害学会誌
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症例報告
高度側彎に伴う特異な食道偏位が食道内カテーテル留置による食道出血のリスクとなる重症心身障害者の2例
武市 知己齊藤 晃士
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2018 年 43 巻 3 号 p. 493-500

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抄録

われわれは過去に、右に凸の胸椎側彎で縦隔左方偏位に伴い食道が下行大動脈に騎乗後さらに左側に回り込んで走行し、食道内カテーテル留置を契機に食道出血のため死亡した2例を報告した。今回、致死的出血には至っていないが同様の食道走行パターンが確認された2例を経験したので追加報告する。症例1は異染性白質ジストロフィーの36歳男性。誤嚥時の胸部CT検査で、胸椎は右に凸の側彎で左主気管支と下行大動脈が交差する部位で食道が下行大動脈に騎乗しさらに左側へと大きく回り込んで下行していた。胃瘻管理中で食道内カテーテルの長期留置歴はなく、食道出血の既往はない。症例2は脳性麻痺の53歳女性。経鼻経管栄養中にコーヒー残渣様胃残が持続し、胸部CT検査で、同じく右に凸の胸椎側彎でカテーテルを留置された食道が下行大動脈へ騎乗し左側に回り込み、左主気管支と下行大動脈で挟み込まれていた。食道内視鏡検査で食道粘膜のびらん発赤を認め、カテーテル刺激による食道出血と考えられた。

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© 2018 日本重症心身障害学会
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