日本重症心身障害学会誌
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論策
施設における重症心身障害児(者)のてんかん治療
富和 清隆小林 遼平金 一石川 直子川口 千晴
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2019 年 44 巻 1 号 p. 237-241

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抄録

重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))が入所する施設におけるてんかん治療の実態と課題を明らかにする目的で、福井県を含む近畿地区29施設にアンケートを依頼した。回答を得た24施設の入所者数は、男性1450名、女性1152名、総数2602名であった。うち20歳未満は354名(13.6%)であった。てんかんを合併する者は1801名(69.2%)。そのうち20歳未満では77.1%に見られ、有意に20歳未満にてんかん合併が多かった。難治てんかんが多く月1回以上発作は39.6%、3剤以上の抗てんかん薬を服用するものは36.5%であった。脳波は1施設を除き施設内で実施されるが、長時間ビデオ脳波は7施設にとどまった。脳波担当技師は19施設、常勤小児神経専門医が18施設で勤務していたものの、常勤の神経内科または脳外科医は7施設、てんかん専門医は6施設であった。重症児(者)ではてんかん合併率、難治率も高い。新規抗てんかん薬の活用や検査機器の充実、専門医のさらなる参加、関与が望まれる。

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© 2019 日本重症心身障害学会
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