日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
短報
神経因性膀胱に対する膀胱用超音波画像診断装置を活用した排尿管理
奥村 啓子依藤 純子小川 勝彦伊藤 正寛高野 知行山﨑 正策
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2019 年 44 巻 1 号 p. 243-247

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抄録

重症心身障害児(者)では神経因性膀胱の合併率が高く、導尿で数百mlを超える残尿がみられることも少なくない。われわれは2015年1月に、神経因性膀胱による尿閉のため、膀胱自然破裂を起こした症例を経験した。これを機に、膀胱用超音波画像診断装置であるブラッダースキャン®BVI6100を導入した。これは小型で持ち運びの簡単な超音波画像診断装置で、膀胱容量を非侵襲的に測定することができる。われわれの施設では、使用基準を決めてこの機器を使用し、利用者の排尿管理を行っている。残尿測定により、膀胱過伸展による膀胱自然破裂や、不必要な導尿を避けることができる。また超音波による残尿測定検査を開始してからは、腎盂腎炎等の症候性尿路感染症の頻度が著明に減少し、抗菌薬の投与回数も減少した。膀胱用超音波画像診断装置による残尿測定検査は、重症心身障害児(者)施設における神経因性膀胱への対策として、大変有用であると考えられた。

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© 2019 日本重症心身障害学会
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