日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-3-01 医療的ケアが必要な利用者への外出支援活動の取り組み
−他職種連携の観点から−
山口 健次朗高濱 美紀
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2019 年 44 巻 2 号 p. 344

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抄録
はじめに 2017年3月、厚生労働省にて重症心身障害児(者)の児者一貫体制が恒久化された。その中において「入所者の年齢・状態に応じた適切な日中活動の提供」が前提として組み込まれた。当園でも、個別に合わせた様々な日中活動を行なってきた。今回、医療的ケアが必要な利用者への「個別外出活動」を実施するにあたり、多職種連携の観点から取り組んだ結果と今後の課題について報告する。 対象 当園2階療育棟入所者のうち、医療的ケアを必要とする入所者14名中、頻回の喀痰吸引実施者、TPN利用者等を除いた10名 方法 ① 「利用者情報共有シート」作成 ② 他事業所との情報交換 ③ 医師との連携 結果 サービス開始にあたり、外出支援事業所との打ち合わせ時に使用していた従来の情報共有シートでは医療的なケア内容や身体状況の詳細が把握しきれず外出時の対応が困難であった。今回、新たに医療的ケアが必要な入所者の情報共有シートを看護師に作成を依頼し、事業所と打合せを行なった。 看護師が主体的に関わり、健康面や、外出時の留意点等の詳細を説明する事で、サービス契約内容に明記されている緊急対応方法を改めて明確にし、当園医師との連携を図ることで医療的ケアの必要な利用者の外出がより多く可能となった。 まとめ・今後の方向性 サービス開始に伴い現在、主に外出サービスを行なっている事業所職員が、実際にサービス提供開始前に半月ほど当園にて実地研修を行なった。今後は、医療的ケアの必要な入所者の外出支援活動の拡大に向けて各事業所との連携を深め、より安全に外出ができるよう対応していきたい。 当園での外出支援サービス利用開始はまだ入り口である。今後、発展的に検討を行う事で入所者の豊かな日常生活に繋がる。それは私たち職員が様々な要望を「いつ、何処で、誰が、何を、どのようにするのか」を明確にし展開する事である。そのためには各事業所や保護者との連携を密に図り、今後も継続的に取り組んで行きたい。 申告すべきCOIはない。
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