抄録
はじめに
重症心身障害児は骨密度の低下・関節の拘縮などの理由から易骨折状態にある。当病棟は体の変形が著明な患者の安全な着脱方法をリハビリ科と共に検証した。しかしスタッフの認識では注意する点など理解できているが、実際の行動では安全が確保できていなかった。そこで、メタ認知の思考過程を用いて、スタッフの行動変化を検討した。
研究目的
着脱介助の際に骨折予防のケア行動がとれるように習慣化するには、どんな要因が関連するのかを調査する。
研究方法
期間:2018年6月~2019年1月
対象:病棟看護師
方法: 1.ステッカーの作成と周知
2.ビデオカメラでスタッフの動きを撮影
3.分析
倫理的配慮
本研究は院内の倫理委員会の承認を得て実施。
結果
9名のスタッフが介助に関わっており、事前にステッカーを見た者は8名。ビデオ撮影は着脱共に6場面。伸展部でステッカー通り安全部位を二点保持していたのが着衣2場面、脱衣3場面。二点保持のみしていたのが着衣3場面、脱衣1場面だった。拘縮部は、安全部位を二点保持していたのが着脱通して0場面、二点保持のみしていたのが、着衣3場面、脱衣4場面だった。
考察
ステッカーの静止画表記のみでは一連の動作を理解させるには不十分で、また、表記にない拘縮部の禁忌部位を理解することはできなかった。拘縮部位を二点保持できていたのは、経験4年目以上の看護師であり、自身の経験より静止画から様々なことを予測し対応できたのではないかと考える。行動を習慣化するには経験値により、伝え方を変える必要がある。
結論
1.予防ステッカーは二点保持を周知するには有効であっが、禁忌部位を周知するには不十分である。
2.ステッカーは静止画であり、安全な着脱方法の一連の動きを理解するには不十分である。
3.安全な着脱方法を周知させるには、重症心身障害児(者)看護の経験値によって伝え方を変える必要がある。
申告すべきCOIはない。