日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
原著
重症心身障害児(者)に発症した盲腸軸捻転症の臨床的検討
大野 幸恵岩井 潤
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2020 年 45 巻 1 号 p. 135-140

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抄録

盲腸軸捻転症は比較的まれな疾患であるが、重症心身障害児(者)における発症の報告が散見される。今回、当院で重症心身障害児(者)に発症した盲腸軸捻転症8例を後方視的に検討した。症状は腹部膨満と嘔吐の頻度が高く、検査所見は非特異的だった。画像所見では腹部単純X線で拡張した大腸のガス像が全例に認められ、注腸造影では66%にbird's beak sign、CT検査では50%にwhirl signおよび75%に拡張した盲腸が指摘された。術前診断できたのは全体の37.5%であった。手術所見では75%に腸管壊死を認め、腸切除を要した。腸管壊死に至る前に捻転を解除できた2例のうち、1例は回盲部切除術、1例は盲腸固定術が施行された。重症心身障害児(者)に腸閉塞症状を認めた場合、盲腸軸捻転症は鑑別にあげるべき疾患である。注腸造影や腹部CTでの特徴的な画像所見を見逃さないことが重要であり、保存的治療による改善は困難であることから、手術治療を躊躇すべきでないと思われた。

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