日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-7b-03 タンパク補助食品によりアナフィラキシーを呈した重症心身障害児の一例
河野 修
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 46 巻 2 号 p. 255

詳細
抄録
近年、重症心身障害児(者)の食物アレルギー患者を経験する機会が増えている。今回、ホエイを主成分とするタンパク栄養補助食品メイプロテインが原因と考えられるアナフィラキシーを来した重症心身障害児例を経験したので報告する。症例は低酸素性虚血性脳症による脳性麻痺のため重度知的障害・寝たきり・気管喉頭分離術後・人工呼吸管理中・胃瘻栄養中である脳梁部分欠損・Dandy-Walker症候群の15歳男性。幼少期からアレルギー体質であった。脂質異常症や肝機能障害などのため経腸栄養の選択に難渋している中、低アルブミン血症の改善を目的にメイプロテインを投与したところ、注入数分後から多呼吸・陥没呼吸が出現し救急搬送された。頻脈や激しい体動もありアナフィラキシーを疑いアドレナリン筋肉内注射をおこなったが症状改善せず、アナフィラキシーと確信が得られないためアドレナリン再投与せずICUに入室した。ICU入室後に蕁麻疹も出現し、胃内容物吸引・ステロイド投与などにより徐々に症状は軽快した。その後、心機能低下や急性腎障害も呈したが治療により改善した。過去に大豆やカゼインをタンパク源とする栄養剤は投与してきたがホエイを主成分とする栄養剤は初めての使用であったためホエイによるアナフィラキシーが疑われた。また、理由ははっきりしなかったがアナフィラキシーが起きる数週間前から血中好酸球数が10,000/μLまで徐々に増加していた。アナフィラキシーが起きやすい状況で初めてメイプロテインが投与されたために今回のイベントが起きたと考えられた。栄養剤であってもアナフィラキシーを起こすリスクはあり、特にアレルギー体質のある患者への初回投与は慎重に行うべきである。また、重症心身障害児(者)の場合、訴えが乏しいなどアナフィラキシーの発見が遅れる懸念があるのでさらに慎重になるべきである。
著者関連情報
© 2021 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top