日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-2-⑤-3 療育センターにおける62年間の入所者死亡原因の検討
中村 由紀子杉森 光子河野 千佳高橋 美智萩田 美和伊藤 誉子明城 和子久本 佳美高橋 佳代子久保田 雅也
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 47 巻 2 号 p. 303

詳細
抄録
はじめに 島田療育センターは1961年5月に本邦で初めて開設された重症心身障害児施設である。当初は重症心身障害児という定義のない中で始まったが、診断の定義がなされ医療技術が進むことにより入所者の年齢構成や医療状況が変化している。今回62年にわたる入所者の死亡原因を検討したので報告する。 方法 1961年5月から2022年7月までの死亡例215例について、死亡年齢、死亡原因などを後方視的に検討した。 結果 当センターの入所者の平均年齢は1962年6.3歳、1972年13.1歳、1982年22.1歳、1992年25歳、2002年32歳、2012年40歳、2022年48歳であった。死亡数と年齢中央値を比較すると、1960年代50例、5歳、70年代31例、10歳、80年代38例、13.5歳、90年代35例、17歳、2000年代26例、22歳、10年代31例、49歳、20年代4例、51歳だった。死因別では呼吸器疾患114例(53%)、循環器31例(14%)、消化器12例(6%)、腎泌尿器5例(2%)、中枢神経8例(4%)、感染症15例(7%)、悪性腫瘍19例(9%)、その他11例(5%)だった。死因として最も多かった呼吸器系が90年代から減少傾向が著明となり、悪性腫瘍が90年代から増加していた。60年代の死因の割合は呼吸器64%、循環器14%、感染症6%の順であるのに対し、2010年代では呼吸器23%、循環器19%、悪性腫瘍16%、感染症13%、消化器7%と比率の変動がみられた。 考察 本邦での19歳以下の在宅人工呼吸器利用者は2005年の264人から2018年に4178人へと増加している。当センターでは超・準超重症児者の推移を2003年より記録しているが、2007年頃より増加し2013年からは90人以上となっている。医療的ケアの増加により入所者の平均年齢、死亡年齢ともに上昇し、疾患は加齢に伴う悪性腫瘍の増加が目立つ。開設当時の役割は介護困難の障害児医療であったが、現在では在宅支援とその後の終の棲家へと役割が変化し、それに付随した問題への対応が重要である。
著者関連情報
© 2022 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top