抄録
重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))に対するCOVID-19ワクチン接種の安全性および有効性に関する報告は少なく、家族の不安も強い。今回、当施設で2回のワクチンを接種した重症児(者)124名(13〜85歳)に対して副反応の調査を前方視的に実施した。また、そのうちの30名に対しては、SARS-Cov-2スパイク蛋白/IgG抗体を測定した。その結果、発熱などの全身副反応および局所副反応は、1回目より2回目の接種でより顕著であった。ワクチン接種後に死亡やアナフィラキシーを呈した症例はなく、ほぼ安全に接種可能であった。ただ、接種後の体調変化に注意深い観察が必要であった。2回のワクチン接種によりスパイク蛋白に対する抗体価は上昇し、特に若年層で良好な上昇を認めた。以上より、重症児(者)に対してもCOVID-19ワクチンの安全かつ有効性が確認された。