日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第49回 日本医真菌学会総会
セッションID: EII
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酵母の薬剤感受性試験法の現状
酵母の薬剤感受性試験法の現状と本学会法改訂への提言
*内田 勝久山口 英世
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抄録

1980 年代以降、深在性真菌症発生率の上昇、新規抗真菌薬の相次ぐ臨床導入、抗真菌薬(特にアゾール系薬)耐性菌の出現により、再現性が高く、しかも臨床的に意味のある薬剤感受性試験法の必要性が強く認識されるようになった。 米国 National Committee for Clinical Laboratory Standards (NCCLS) を中心として精力的に進められてきた酵母の感受性試験法に関する検討は、 NCCLS M27 と呼ばれる標準法として結実した。本法の再現性は言うに及ばず、Candida spp.とアゾール系薬とくにフルコナゾール (FLCZ) との組み合わせでは in vitro 感受性と in vivo 臨床効果との間に良好な相関性が見られることが確認されている。しかし上記の組み合わせ以外の病原真菌ー抗真菌薬の組み合わせについては in vitro - in vivo 相関性がほとんど得られていないこと、キャンディン系薬の感受性試験法が未だ標準化されていないなど、今後に残された未解決の問題も少なくない。 わが国では、最初の NCCLS 法である M27-P ガイドラインが発表された 1992 年頃から、本学会標準化委員会は当時国内で市販されていた薬剤を対象に標準法の作成作業を開始した。試験培地その他の基本的条件は M27-P に準拠したが、M27-P ではマクロ法のみを提示したのに対して、本学会法は自動化に対応可能なミクロ法を採用し、1995 年に発表し、今日に至っている。その後本法をそのまま製品化した保険適用検査キットが市販さている。一方 NCCLS ではミクロ法も併せて標準化し、現在はこのフォーマットが主流となっている。本セミナーでは、われわれの研究グループが Japan Antifungal Surveillance Program で得た成績と文献的考察に基づいて、酵母の薬剤感受性試験の現状と課題を解説するとともに、本学会法について終末点の判定基準を早急に改訂すべきであることを提言し、会員の方々の御意見を賜りたい。

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© 2005 日本医真菌学会
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