日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: P2
会議情報

ポスター(括弧内番号はセレクテッド・シンポジウム発表を示す)
遺伝子解析による Neosartorya 属および Aspergillus section Fumigati の分類と種の評価および新分類
矢口 貴志*堀江 義一松澤 哲宏田中 玲子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

Neosartorya 属は Aspergillus fumigatus などの病原真菌が分類される Aspergillus section Fumigati のテレオモルフで一部はヒトや動物から病原真菌として分離されている。Neosartorya 属は現在 26 種報告されているが、分類には子のう胞子表面の構造が重要視されている。近年、分子生物学的手法が導入されつつあり、系統が異なるが形態的には見分けがつかない種を創設する例も見られる。今回は Neosartorya を分子生物学的手法で解析し既知の種とは異なる系統を示す種について形態学的考察を加え、種の評価をおこなった。方法:報告されている種に加えて土壌などから分離した菌を β-チュブリン、ハイドロフォビン、ITS などの遺伝子を用いて解析を行い、既知の種と異なる系統を示した菌について子のう胞子表面構造等の形態学的観察をおこなった。
結果:その結果 3 方法とも比較的類似した結果を得た。β-チュブリン遺伝子による分析では Neosartorya 属は 6 クラスターに分類された。また、7 株の菌が既知の種とは異なる系統を示した。これらの菌の形態的特徴を観察した結果、4 菌株は既知の種とは形態的にも異なる事が知られ、新種として報告する事がふさわしいと思われた。また、N. fischeri の変種として報告された var. verrucosa は系統的に N. fischeri と遠い事が判明した。それらの菌の形態的特徴と近縁種との比較検討の結果を報告する。

著者関連情報
© 2006 日本医真菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top