日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: P23
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ポスター(括弧内番号はセレクテッド・シンポジウム発表を示す)
FIB マイクロサンプリング技術を応用した細胞の新しい三次元観察
*大隅 正子佐藤 高広
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抄録

細胞の三次元(3D)構造を観察するために、これまで種々の方法が研究されている。細胞を急速凍結後に破断して、走査電子顕微鏡で細胞の内部を観察したり、連続超薄切片の透過電子顕微鏡像を画像処理したりすることによって、3D構造を再構築する方法が、これまで主として行われてきた。また近年、超高圧電子顕微鏡を用いての、トモグラフィ法による観察も試みられている。本報告は、半導体デバイス解析のための主要な手法である、FIBマイクロサンプリング法を生物試料に応用する第一段階として、超薄切片用に樹脂包埋された試料中の任意の細胞を厚切りし、走査透過電子顕微鏡(STEM)を用いて、任意の方向から直接観察することが可能となったことを紹介する。 樹脂包埋された Candida tropicalis の1細胞を、FB-2100 により約0.3μmの厚さの切片を作成し、200kV-STEM HD-2300を用いて、角度を変えながら連続的に記録することによって、細胞の微細構造を、立体的に、動画として、把握し得る。特に細胞壁については、暗視野で観察すると、細胞壁の最外層のマンナンタンパク層の繊維構造と、その内側のグルカン領域の構造とが明瞭に識別でき、これにより分子モデルと対応しながら細胞壁の構造を検討できる。この観察法は、電子顕微鏡の有用性をさらに高める画期的な方法であり、細胞構造の研究への種々の応用が期待される。

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© 2006 日本医真菌学会
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