日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: P27
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ポスター(括弧内番号はセレクテッド・シンポジウム発表を示す)
病原性放線菌を含む Nocardia 属の60菌種が産生するSiderophore(鉄キレート分子)の生合成に関する解析
*五ノ井 透武田 健二郎向井 啓矢澤 勝清矢口 貴志三上 襄
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抄録

寄生性の細菌や真菌にとって、様々な酵素反応において中心的な役割を果たす鉄イオンを宿主環境中から得ることは、生存に必須である。また宿主も、鉄の供給を制限することによって、病原菌の増殖を抑制していることが明らかにされてきた。Siderophoreは、様々な菌類によって産生・放出される小分子であり、環境中の鉄イオンをキレートし、菌の細胞内に輸送して菌の生命維持・増殖に役立てる重要な作用を持つ。今回我々は、病原性を持つことが明らかな数種を含む60種の Nocardia 属菌のSiderophore 産生の有無とその分子的多様性について検討した結果を報告する。【方法】放線菌による培地中へのSiderophoreの放出の有無は、菌を鉄のキレート剤であるchrome azurol S (CAS) を含む青色の培地上で培養し、培地の消色反応により検定した。また Nocardia farcinica のゲノム配列等を基にPCRプライマーを設計し、Siderophore 生合成への関与が予測される4酵素の遺伝子をPCR増幅し、ゲル上でバンドを確認した。さらに、薄層クロマトグラフィーにより放線菌培養上清を展開し、CASの消色反応でスポットの位置を確認し、分子種の多様性について検討を行った。【結果】ヒト、植物、魚介類に対する病原性が確認されている菌種、および病原性が報告されていない菌種を含むほぼすべての Nocardia 菌種が、Siderophoreを産生していると予測された。

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© 2006 日本医真菌学会
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