日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: P30
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ポスター(括弧内番号はセレクテッド・シンポジウム発表を示す)
白癬性毛瘡の1例
*竹之下 秀雄
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キーワード: 白癬性毛瘡
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抄録

症例:44歳男性。2005年11月9日当科初診。約3週間前より顔の人中部に皮疹が出現した。近医で加療(抗生剤の内服と外用)されたが改善せず、当科受診した。初診時、人中部に半米粒大までの膿疱が集簇し、紅斑と腫脹を伴っていた。真菌感染症を疑い、患部の毛根を引き抜いてKOH鏡検を施行したところ、毛根および毛幹の中と周囲に真菌要素が確認できた。サブロー寒天培地に毛根を培養した巨大培養で、白色顆粒状のコロニーが得られた。さらに、スライドカルチャーでは、特徴ある大分生子、小分生子、螺旋体などがみられたため、本例の原因真菌を Trichophyton mentagrophytes と同定した。以上より、本例を T. mentagrophytes による白癬性毛瘡と診断した。2005年11月12日より、塩酸テルビナフィン( 125 mg)1錠 /dayの内服および塩酸ブテナフィンの外用を開始したところ、改善傾向を示し、約1か月投与して軽快した。1997年の日本医真菌学会疫学調査によると、7677例の白癬のうち、白癬性毛瘡は1例のみであったことから、本例は比較的まれな疾患と言えよう。

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© 2006 日本医真菌学会
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