日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: P36(SII-3)
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ポスター(括弧内番号はセレクテッド・シンポジウム発表を示す)
家族内で発症した Trichophyton verrucosum 感染症
*高橋 一朗飯塚 一大坪 紗和
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抄録

【症例1】1歳8ヶ月,男児.初診:2005年7月.初診の10日前頃から頭部,背部に皮疹が出現した.家族は酪農業に従事しておりウシの皮膚病が感染したのではないかと心配して当科を受診した.鏡検にて真菌を確認し,抗真菌薬外用,テルビナフィン内服併用で治療を開始したところ,紅斑が拡大し,脱毛が進行した.外用を中止し,テルビナフィンを増量し,8週間後には脱毛を残さずに治癒した.【症例2】27歳,女性.症例1の母親.初診:2005年9月.患児の外来通院に付き添って来院した際に,右下腿の紅色皮疹を主訴に受診した.抗真菌薬外用,テルビナフィン内服2週間で治癒した.【症例3】34歳,男性.症例1の父親.初診:2005年10月.右前腕に紅色皮疹があり,自己判断で妻の外用薬を使用していたが改善しないために受診した.外用薬の継続,イトラコナゾール内服にて治癒した. 3症例とも培養にて T. verrucosum を分離した.本菌による頭部白癬は一般的に炎症症状が強く、ケルスス禿瘡へ移行しやすいとされる。頭部白癬の治療はグリセオフルビンが第一選択薬であるが,テルビナフィン,イトラコナゾールも有効である.しかし乳幼児,小児例では,使用できる抗真菌薬が限られており,またコンプライアンスが悪く内服できないこともあるため,治療に苦慮することが少なくない.小児の頭部白癬治療の問題点について概説する.

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© 2006 日本医真菌学会
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