日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-4
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I. 内臓真菌症
沖縄美ら海水族館で飼育されているイルカの呼気、飼育スタッフ口腔内および飼育環境の病原性酵母叢
*高橋 英雄植田 啓一宮原 弘和渡辺 紗綾内田 詮三鎗田 響子村田 佳輝板野 栄子高山 明子西田 和紀猪股 智夫矢口 貴志佐野 文子亀井 克彦
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抄録

水族館飼育下イルカのnon-albicans Candida spp.保菌が健康管理および観客への安全上問題となっているので、飼育されているイルカ20頭の呼気と飼育プール水の病原性酵母叢を昨年8月および本年2月に調査した。さらに飼育関係者24名の口腔内と観客席空中浮遊菌の病原性酵母叢の調査を本年2月に行った。保菌イルカは14頭 (70%)、分離株はC. albicansC. tropicalisC. glabrataで、1頭を除き2回の調査とも保有菌種は同一で、大多数の株はアゾール薬に耐性傾向を示した。また、4個体は1呼気あたり数十から数百の病原性酵母を噴出していた。飼育プール水の検査では8箇所中5ヵ所からC. albicansおよびCandida spp. など、飼育関係者の口腔からは24名中5名からC. albicansおよびCandida spp. などが分離され、一部にアゾール薬に耐性傾向を示す株も含まれていた。観客席空中からはCandida spp.など数株の酵母が分離された。しかし、病原性酵母を噴出しているイルカの呼気が観客に直接かかるような状況はなく、実際に観客席空中からイルカとの共通菌種が分離されなかったため、イルカショーで発生するエアロゾルによる観客への影響は少ないと思われる。一方、イルカ、飼育環境、飼育関係者との間ではC. albicansが共通して分離されていたので、現在,遺伝子パターンの解析を進めている。また、イルカの真菌保有の有無は健康状態の指標となりうると思われた。

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© 2007 日本医真菌学会
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