日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-10
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I. 内臓真菌症
Trichosporon asahii MYA-1296株におけるin vitroでのアゾール系抗真菌薬耐性の誘導
*串間 尚子時松 一成門田 淳一
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抄録

【目的】T.asahiiは致死的日和見感染症の原因菌である.本研究の目的は,本菌とフルコナゾール(FLCZ)およびミコナゾール(MCZ)、イトラコナゾール(ITCZ)をvitroで接触させ,これらの薬剤に耐性が誘導されるか,また,他のアゾール系薬に交差耐性を示すかを明らかにすることである.【方法】本菌を,1倍MIC濃度のFLCZ,MCZ,ITCZ(各々4μg/ml,1μg/ml, 0.5μg/ml)を含むRPMI1640培地に接種し,35℃で培養した.菌の増殖後,その一部を同濃度,もしくは2倍濃度のFLCZ,MCZ,ITCZを含む培地に移した.各時点の株は,酵母様真菌薬剤感受性キットで各種抗真菌薬に対する最小発育阻止濃度(MIC)値を測定した.【結果】徐々にFLCZの濃度を上昇し培養を継続すると,最終的にFLCZに対するMICは64μg/mlに上昇し,ITCZのMICも8μg/mlまで上昇した.VRCZに対するMICは4μg/mlまで上昇した.ITCZを含む培地で培養した場合も、同様にITCZに対するMICが上昇し,FLCZおよびVRCZに対するMICも上昇した.一方,MCZを含む培地での継代では、MIC値に変化はなかった.【考察】本菌は薬剤接触により, FLCZ,ITCZ自身に対し耐性を示した.これらの薬剤はそれぞれ,他のアゾール系抗真菌薬の交叉耐性も誘導することが明らかになった.

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© 2007 日本医真菌学会
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