日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-15
会議情報

I. 内臓真菌症
Aspergillus fumigatus 菌糸形態に及ぼすアムビゾームの作用
*西山 彌生蓮見 弥生山口 英世安部 茂
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

アムビゾームはアムホテリシンB(AMPH)の抗真菌活性を維持したまま、副作用を軽減する目的で開発されたリポソーム製剤であり、国内では2006年に臨床導入された。我々はこれまでに Aspergillus fumigatus を用いて、AMPHの作用メカニズムを微細形態学的に検討してきた。今回は、A. fumigatus菌糸形態に及ぼすアムビゾームの影響を、AMPHの作用と比較検討した。アムビゾームのA. fumigatusに対するMIC値は4 μg/mlであり、 AMPHに比べて約4倍の高値を示した。菌糸の増殖は1/10 MIC以上の濃度で抑制された。SEM観察からは、菌糸の一部陥没に始まる扁平化、不整形化、皺襞、表層剥離などの変化が認められ、TEM観察からは、細胞膜の波状化、断裂・小胞形成、ミトコンドリア外膜の融解、小胞体の拡張、細胞質の空胞化などの変化が認められた。これらの形態変化は薬剤濃度および作用時間に依存して増大した。さらに一部の菌糸においては隔壁の形成異常が認められた。アムビゾーム作用後にみられた菌糸細胞の形態変化は、AMPHに比べるとやや軽度であったが基本的には同質であり、アムビゾームがAMPHと同様に激しい真菌細胞の構造破壊作用をもつことが明らかになった。一方、リポソーム膜(AMPHを含まない)自体のA. fumigatus菌糸細胞に及ぼす影響については未だ知られていないので、今後検討したい。

著者関連情報
© 2007 日本医真菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top