白癬は、罹患率が極めて高く、新規抗真菌剤の開発で治療法が進歩した。これらを踏まえて、外国では治療の指針が作成され、わが国でも指針が作成されつつある。この発表では、より良い指針を目指してその問題点を指摘したい。白癬の診断は、直接検鏡と培養はGolden standardであり、各診療施設で施行できるように支援する必要がある。分子生物学的診断は臨床応用法が課題である。頭部白癬は、3病型に分類され原因菌は様々でそれぞれ治療への反応性が異なる。 T. tonsurans感染症では蔓延に対する厳格な対策が必要である。治療は、外用剤は使用せず経口剤を使用する。治療期間は病毛が排出される2-3ヶ月が目安であり、ヘアブラシ法を経時的に行い治癒判定に用いる。薬用量は外国の指針を参考せざるを得ないが、他の病型と同様日本の倍量となっている。生毛部白癬の治療は角質細胞の脱落の2週間を目安として、その3-4倍の期間外用させる。外用療法で十分であるが、こじれた症例では経口剤を併用する。M. canis感染症では感染動物の治療を行う。足白癬、手白癬は、早期発見例を除くと難治であり、緩急織りまぜて様々な症状を呈する。治療期間は、軽症例では1-2ヶ月で良いが、通常の足白癬では3-6ヶ月を最短の目安とする。角質増殖型足白癬は、外用剤単独では難治で経口剤の併用が必要である。足白癬の重症度基準の評価法を作成し、それに準じた指針が作る必要がある。生活指導もフットケアも含めて再検討する必要がある。爪白癬の治療は、itraconazole、 terbinafineは初期にきちんと3-6ヶ月間内服させ、その後中止して爪の改善を観察する治療法が行われる。爪真菌症の臨床評価基準が発表され、各スコアに準じた治療指針が提案されている。今後、副作用、相互作用、コンプライアンスも考慮したより良い指針が作られることが望ましい。