日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第52回 日本医真菌学会総会・学術集会
セッションID: SY-3-3
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皮膚真菌症の診断と治療のガイドライン:ISHAM2009に向けて
カンジダ症
*加藤 卓朗
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抄録

皮膚(粘膜も含む)カンジダ症の治療はカンジダに抗菌力のある抗真菌薬の外用が基本であるが、爪、口腔、爪囲爪炎などの病型や難治性、再発性、広範囲の症例では経口薬の適応になる。さらに深在性皮膚カンジダ症は全身性抗真菌薬(経口薬あるいは注射薬)を用いる。外用薬では、抗菌域が広く、カンジダ症を含む表在性真菌症のすべての原因菌に対して抗菌活性があるイミダゾール系が第一選択薬といえる。基剤は、軟膏剤、クリ-ム剤、液剤、ゲル剤、スプレー剤がある。カンジダ症はびらん局面を呈することが多いので、刺激が少ないクリーム剤ないし軟膏剤が用いられることが多い。用法・容量は1日1回、適量塗布が基本であるが、手や陰股部など1日数回洗浄する部分の病変に対する塗布回数が問題になっている。経口薬ではトリアゾール系のイトラコナゾ-ルの使用が可能であれば第一選択薬である。本症に対しては爪白癬に用いるパルス療法ではなく、連日内服療法を行う。口腔咽頭および食道カンジダ症用としては、内用液1%がある。テルビナフィンは白癬に対する効果が高く、カンジダ症では爪カンジダ症のみが保険適応である。フルコナゾールやボリコナゾールは皮膚カンジダ症の保険適応はない。特殊な経口薬として口腔・食道カンジダ症用で、ほとんど吸収されないミコナゾールゲルがある。以上の抗菌療法に加えて、本症では発症・悪化因子を探し出し、その除去、改善を行うことが重要である。発症・悪化因子として、基礎疾患を有するなどの全身的防御能の低下、ステロイド約外用などの皮膚の防御能の低下、密封状態、高温、多湿などの局所因子をあげることができる。本シンポジウムでは、自験例の供覧に加えて、ストマ周囲の皮膚病変の診断と治療、口腔カンジダ症の治療、慢性皮膚粘膜カンジダ症の長期経過などについて問題提起したい。

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© 2008 日本医真菌学会
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