日本運動器看護学会誌
Online ISSN : 2435-001X
Print ISSN : 2186-635X
大腿骨頚部骨折急性期治療の標準化に向けた研究-日米のベンチマーキングを通して-
高倉 倫子森山 美知子
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 1 巻 p. 56-61

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抄録

大腿骨頚部骨折急性期治療に焦点をあて,アウトカムの差を生み出す要因を,日米の治療プロセスを詳細に比 較検討することによって明らかにした.更に,日本の整形外科医13名を対象に,医学的に実施可能な理想的治療 プロセスの構築を目的としデルファイ法による調査を行った.結果,アウトカムの差を生み出す要因として,退 院時ゴール設定とリハビリテーション等, 6つの相違点が抽出された.また, 1患者1入院の診療報酬の違いも顕 著であり,術前および抜糸後の入院期間の発生とその期間中の処置が,米国よりも日本の医療費を高くしていた. また,わが国の整形外科医が構築した理想的治療プロセスは,現行の治療に比較して,約423億円~ 305億円の 医療費削減効果が認められた.わが国においても診療ガイドラインの使用の普及や看護師による治療プロセスの 見直しにより,医療費の削減とともに患者アウトカムの向上を図ることが可能となると考察された.

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© 2006 日本運動器看護学会
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