2017 年 12 巻 p. 60-
本研究の目的は人工膝関節全置換術術後患者の初回の離床に関する臨床判断を熟練看護師は何を手がか りとして行っているか明らかにすることである.人工膝関節全置換術を行っている病院の整形外科病棟勤務経 験5年以上の熟練看護師8名を対象とし,半構造化面接を行い,結果を質的記述的に分析した.結果,【治 療上の制約】,【術後の患者の身体症状】,【食事摂取状況】,【患者の運動機能】,【患者の特性】,【患者の心 理状態】,【看護師の経験知】,【看護師の看護観】の8つのカテゴリーが抽出された.熟練看護師は治療に関 わる身体的状況だけでなく患者の特性や心理状態といった情報を多面的に捉え,培われた経験知や看護観を 活かしながら,離床の判断をしていると考えられた.