2014 年 11 巻 p. 87-98
本稿の目的は、日本国内に存在する「不就学」の外国人児童生徒の実態を把握することである。過去に、いくつかの外国人が集住する地区において既に外国人児童生徒の「不就学数」が調査は実施されてきたものの、公立学校及び外国人学校に在籍していない「不就学」児童生徒の数を把握するという作業は困難性を伴うものであり、暫定的な数を知ることに留まっている。本調査では、各都道府県の教育委員会が外国人児童生徒の「不就学」状況を把握しているかを明らかにすることを目指している。対象としている読者は、教育行政に関わる人々および外国人児童生徒の「不就学」を研究対象としている者である。
調査方法は、「外国人児童生徒の不就学者数」に関する情報提供をメールにて呼びかける質問調査を採用した。結果、静岡県と奈良県の教育委員会のみが、外国人児童生徒の「不就学」についての実態把握を行っているということがわかった。
以上の実態は、未来へ向けて深刻に受け止めるべき課題となるだろう。