12 巻 (1963) 118 号 p. 507-513
試作試験機において供試片の運動状態と衝撃ひずみ波形との関係を観察し, カムの形状および回転数, ばねによる荷重を変えることにより, 供試片に容易に所定の繰返衝撃摩擦を与えることを認めたので, 本試験機を使用して, 高炭素クローム軸受鋼2種焼もどし材が繰返衝衝摩擦を受けた場合の摩耗面の生成過程について次の二, 三の考察結果を得た.
すべり摩擦を伴う繰返衝撃値の小なる場合, 表面はピーニング作用を受け, きわめてかたい変質層を少し内部は加工により Network 破壊に伴う炭化物層が形成され, この変質層は繰返数に応じ, 形成とはく離脱落の交互を繰り返し, 摩耗現象に著しく影響する. また, 炭化物層は繰返数の増加に伴い深くなる. しかし, 過大な衝撃値を与えた場合は, 以上の材質変化に先行して, 切削作用が進行するため変質層および炭化物層の影響は概して受けないことが定性的に推察された.
本研究においては摩耗面の変化過程のみを観察し, 二, 三の考察を加えたにすぎず, 摩耗面の生成過程を大きく左右すると思われる変質層および炭化物層等について, 微視的観察はなしていないので. 今後その検討を加える必要があろう.