材料
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最近のAE剤使用のすう勢
小笠原 孟伯
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1967 年 16 巻 167 号 p. 609-613

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抄録

1930年代にアメリカにおいて偶然の機会にAEコンクリートの効果が発見されて, 冬期の道路面のスケーリングの難問が解決された. 昭和23年わが国にAEコンクリートが伝えられ, 25年にはAE剤が生産されて, 国鉄や日本発送電の発電所の建設に使用された. そのころ各研究機関の研究結果があいついで発表され, AE剤はその種類により気泡の安定性や大きさの分布が異なり, 優良なAE剤は気泡が微細でその直径が20~250μが大部分を占めていることが判明した.
昭和24年, わが国にレディーミクストコンクリート工場が誕生し, 30年にはまだ12工場であった苦難な時期を経て, 41年末には806工場と驚異的な発展をとげ, 全セメント量の34.6%を消費するに至ったが, AE剤も生コン工場の発展とともに打設時の作業性, 耐久性, 微量で効果のある経済性により使用されてきた. 昭和40年度の生コン販売量2880万m3に対して40~45%にAE剤が使用されたと推測される. 重力ダムのコンクリートについてはAE剤の特長が遺憾なく発揮され130個以上のダムに使用されたが, 最近アーチ型ダムにもAE剤単味で使用されて注目されている. 現在, 道路関係にはAE剤の使用はわずかであるが, 最近東名道路の一部に使用されるようになった. 砕石や軽量骨材の使用が多くなるにつれAE剤の利用度は多くなる傾向にあり, コンクリートポンプによる輸送にも効果的に使用されている. 現在セメント生産量の30~35%がAEコンクリート (AE剤, 減水剤) として消費されていると想定され, 今後メーカーの努力しだいで倍増する可能性もある.

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