2017 年 16 巻 p. 21-27
療養病棟での上方移動援助における看護師の腰部負担の実態および援助環境との関係を, 移動援助動作アセスメントツール (TAMAツール) を用いて調査した. 187例の上方移動援助におけるTAMAツールの総合点 (腰部負担) を求め, 「環境の整備」に関する項目 (援助環境の様子) との関係を分析した. 環境の整備に関する7項目のうち, 援助環境がよい項目のなかで最も多かったのは「援助の人数」の63.1%であり, 補助具を使用した例が1.6%と最も少なかった. 重回帰分析では「援助の人数」の偏回帰係数が1.61と最も高く, ついで「ベッドの高さ」が1.22であった. このことから, 看護師は整備されていない環境で援助することが多い実態が明らかとなった. また, 複数で援助を行いやすく, ベッドを適切に調節しやすい援助環境を整えることが, 看護師の移動援助による腰部負担を減らすことにつながるといえる.